キューバは人気の観光地になっていますが、実際にキューバがどんな国なのか、治安は良いのか、キューバに行く前に準備しておくべきことは何なのか知らないことも多いです。
僕はアメリカとキューバの国交正常化が現実味を帯びてきた2015年に1週間の日程でキューバに行ってきました。たった1週間ですが今まで行ったどの国よりも楽しかったです。そのときのことを思い出しながらキューバの治安やお金のこと、渡航前に準備しておかなければならないことなどを書いてみようと思います。
キューバについて
キューバは正式名称をキューバ共和国といいカリブ海に浮かぶ島国です。人口は1,100万人ほどで首都はハバナです。公用語はスペイン語ですがホテルなどでは英語も通じます。
日本からキューバへの直行便は出ていません。そのため多くの人がカナダ経由かメキシコ経由でキューバに入国することになります。僕がキューバに行ったのは陸マイラーを始める前で、エアカナダでカナダのトロント経由で行ってきました。今度行くとしたらANAマイルを使って特典航空券でメキシコシティに寄ってからキューバに入国するかな。
キューバというとコロニカル調の古びた建物やクラシックカーをイメージする人は多いと思いますが、アメリカとの国交正常化によってキューバの街にマクドナルドやスタバができてしまう前に、キューバの道をハイブリッドカーが列をなして走り出してしまう前にキューバの街をこの目でみておきたいと思ってキューバに行ってきました。
1週間程度の旅行で観光客が訪れる都市と言えば、首都のハバナ、カラフルで可愛い世界遺産の街トリニダー、そしてキューバのリゾート地であるバラデロが定番です。僕はサンチアゴ・デ・クーバに行ってみたかったのですが日程的に断念せざるを得ませんでした。あと、ひとり旅でリゾート地など行こうものなら悲しくなるのは目に見えていたのでバラデロにも行っていません。ハバナで2泊→トリニダーで2泊→ハバナで1泊、こんな日程だったと思います。
キューバの治安
キューバが社会主義国家であることやキューバ危機が原因なのかわかりませんが、キューバときくと何となく治安が悪そうなイメージもあります。僕がキューバに行くときにも友人に話すと治安は大丈夫なのかと心配されました。しかし実際には意外や意外、キューバの治安はとてもいいです。中南米ではダントツの治安の良さです。国自体が観光に力を入れていることもあって観光客に対する犯罪には重い罪が科されることが犯罪防止につながっているようです。さらに観光スポットには警察官が多く配備されているため安心です。
スリなどの軽犯罪は少なからずあるようですが、カバンは前で持つ、荷物から目を離さない、貴重品をポケットに入れない、夜道を1人で歩かないなど、基本的な防犯対策をしていればそれほど気にしなくても大丈夫だと思います。僕は何一つ守らず日本で生活するのと同じようにキューバでも過ごしましたが危ない目に遭うことはありませんでした。むしろキューバよりヨーロッパの方が気が抜けないと感じました。
そうは言っても南米でよくきく、いきなり首を締めて気絶させて金品を奪い取とろうとする、いわゆる”首絞め強盗”にあったという話もきくので油断せずに警戒心を持っておきましょう。
キューバにはふたつの通貨「兌換ペソ」と「人民ペソ」がある
次に通貨の話です。キューバでは主に観光客が使う通貨と現地の人が使う通貨の2種類が流通しています。観光客が使う通貨は「兌換(だかん)ペソ(CUC)」といいクックと呼ばれます。一方、現地の人が使う通貨は「人民ペソ(CUP)」でペソ、ペソクバーノ、モネダ・ナシオナル(MN)などと呼ばれます。1兌換ペソは約100円で、1CUC=24CUPなので1人民ペソは約4円ほどとなります。
観光客が利用するホテルやバスやレストランなどはCUCで支払うことになります。しかし現地の人向けにCUP払いの店もあり、そこでは観光客であってもCUPを使って利用することができます。現地の人向けの店で食事をすると1食が日本円で数十円に抑えることもできてお得ですが、個人的には観光客がCUPばかりを使うのもどうかと思うのでほどほどにしておいた方がいいと思います。
3人民ペソ札にはゲバラの絵が描かれていて、お土産としても人気です。
日本円の両替はできる?
キューバで日本円を両替できるかわからなかったので僕は念のためトロントでトランジットする際に日本円をカナダドルに両替しておくつもりだったのですが、トロント到着が遅れて両替する時間がありませんでした。キューバに着いて日本円を両替できなかったらどうしようかとヒヤヒヤしました。
キューバに入国する際はほとんどの人が首都ハバナのホセ・マルティ国際空港を利用することになると思いますが、空港の両替所(キューバでは両替所を「CADECA」といいます)で日本円の両替も可能でした。CUPを使ってローカルバスに乗り市街地まで安く行く方法もありますが、一般的な観光客は空港からハバナ市街地まではタクシーを使う(25CUC)ことになるため、空港で少しでも両替しておいた方がいいでしょう。
予め日本からユーロやドルを持って行ってキューバで両替する方法もありますが、アメリカドルのレートは極端に悪いのでアメリカドルでの両替はやめておいた方がいいです。ちなみに、キューバでもクレジットカードが使える店はありますが、以前はアメリカのカード会社が発行しているクレジットカードは利用できませんでした。最近になってマスターカードは使えるようになったらしいですが、アメックスはまだ利用できません。そのためキューバに行ってSPGアメックスで決済してスターポイントを貯めることはできません。
両替詐欺に注意
CUCの紙幣には「pesos convertibles」 と書かれているので、この記載があるかどうかでCUCかCUPかを区別することができます。もっとわかりやすい方法は描かれている絵を確かめることです。CUCは建築物の絵が描かれていますがCUPはゲバラをはじめとして人物の絵が描かれています。硬貨は八角形なのがCUCです。
キューバはCUCとCUPの2種類の通貨があり、しかも紙幣だけでなく硬貨もあるため慣れるまですぐに見分けるのは難しいです。そこを狙って店員がお釣りを返すときにCUCではなくCUPで返してくることがあります。CUCで返ってくるはずのお釣りが1/24の価値しかないCUPになって返ってきてしまうので大損です。こういう輩がいるのは主にハバナなのですが、お釣りをもらったらその場でしっかり確認するようにしましょう。
渡航前に絶対準備しておくもの①「ツーリストカード」
キューバに渡航する際に用意しておかなければならないものがふたつあります。ひとつは「ツーリストカード」と呼ばれるものです。
キューバに30日以内の滞在の場合、ビザの代わりに「ツーリストカード」を準備する必要があります。ツーリストカードはキューバ大使館領事部で取得することができます。キューバ大使館領事部は大江戸線の赤羽橋からすぐのところにあります。
ヒロ犬猫病院が目印になります。キューバ大使館領事部のすぐ近くにキューバ大使館もありますが、キューバ大使館ではツーリストカードを取得できないので間違えないように気をつけてください。
ツーリストカードの取得には以下が必要になります。
- 申請用紙(領事部で記入します)
- パスポート
- 証明写真(縦5.0cmx横5.0cm) ※領事部にある申請用紙は縦4.5cm×3.5cm
- Eチケット(2017年から追加になったそうです)
- ホテル予約確認書(同上)
- 申請料金(2,100円)
ツーリストカードは郵送や旅行代理店での手配も可能となっていますので、詳細はキューバ大使館のウェブサイトで確認してください。
エアカナダでキューバに行く場合、トロント発ハバナ着の便ではツーリストカードが配られるようです。実際に僕が乗ったときにも配られました。ただ、キューバに向かうカナダ人用に配られているらしく日本人には配られない可能性もありますので事前に取得しておく方が無難です。また、カンクンやメキシコシティを経由する場合は空港で入手できるらしいです。
僕がキューバに行ったときにはありませんでしたが、2016年3月からはカナダ経由でキューバに渡航する場合、電子渡航認証システム(Electronic Travel Authorizations:eTA)による渡航認証が義務付けられていますので、カナダ経由でキューバに行く際には忘れないように気をつけましょう。
アメリカ系航空会社でキューバに行く場合は日本で発給されるツーリストカードが利用できないそうです。アメリカの空港で購入しなければならないようですが利用していないのでよくわかりません。
アメリカ系航空会社で行かれる方は一度ユナイテッド航空の「キューバへの渡航に関する重要なお知らせ」、デルタ航空の「キューバについてのよくあるご質問」、アメリカン航空の「Travel to Cuba」などに目を通しておくことをお勧めします。
国交正常化でアメリカからもキューバに渡航しやすくなるのかと思いきや、アメリカ発またはアメリカ経由でキューバに入国する際には観光目的での渡航はできず、家族の訪問、ジャーナリズム活動、スポーツやイベント、研究など一部の渡航目的のみに限定されています。 トランプ政権が続く間はアメリカ経由でのキューバ入国は簡単ではなさそうです。
そのため、キューバにはアメリカ経由は避けてカナダもしくはメキシコから入国することを強くお勧めします。
渡航前に準備しておくもの②「海外旅行保険証明書」
ツーリストカードの他に、もうひとつ渡航前に準備しておくべきものは「海外旅行保険証明書」です。
2010年5月以降、キューバに入国する外国人には滞在中の医療費をカバーするための保険への加入が義務付けられており、その証明として英語かスペイン語で記載された「海外旅行保険証明書」が必要となっています。入国時にこの海外旅行保険証明書がないとキューバで保険に加入させられることになるそうです。
僕は最初クレジットカード会社の付帯保険を利用しようと思いクレジットカード会社に電話したところ、証明書の発行は可能だが保険内容がキューバの基準を満たしていないと言われてしまい、新たに海外旅行保険に加入することになりました。(どのクレジットカードだったか忘れてしまいました)
ただ、ツーリストカードと違って入国時に必ずチェックされるかというとそうでもないようなので証明書を持っていかない人もいるようです。僕もツーリストカードしかチェックされませんでした。このあたりは自己責任で判断してください。
ちなみに、アメリカの保険会社が発行する証明書は認められないので注意してください。
実際にキューバに行ってみて感じたキューバの良いところなどもっと書きたかったのですが次回にまわすことにします。