ソラチカルートの封鎖が発表され一時は陸マイラー界が騒然となりましたが、ソラチカルートに比べ交換レートは劣るものの代替ルートが無いわけでもなくソラチカルート封鎖をさほど悲観的に考えなくてもいいという見方が大半を占めています。
そして4月1日以降ソラチカルートの代替ルートとして有力なのが「LINEルート」と「nimocaルート」のふたつですが、自分の中での整理も兼ねてメリット・デメリットを比較した上でどちらのルートを使っていけばいいのか考えてみたいと思います。
LINEルートとは
まずはLINEルートから確認していきます。
LINEポイントとはLINEの各種サービスを利用することで貯めることができるLINEのポイントサービスです。ポイントサイトで貯めたポイントをこのLINEポイントに移行した上でANAマイルに交換するのをLINEルートといいます。
各ポイントサイトからLINEポイントへの交換
まずはポイントサイトで貯めたポイントをLINEポイントに交換するまでの流れをみていきます。
LINEポイントにポイントを移行できるポイントサイトはGポイント、PeX、ポイントタウンの3つです。このうち、ハピタス、モッピー、ちょびリッチ、ECナビといった主要なポイントサイトから直接ポイントを移すことができるのはPeXだけです。
しかし、PeXから直接LINEポイントに交換してしまうと交換レートが66.7%とガタ落ちしてしまいます。そのためPeXから直接LINEポイントに交換するのではなく、三井住友VISAカードのワールドプレゼントを経由させてGポイントへと移し、さらにGポイントからLINEポイントに交換するという複雑なルートを通る必要があります。
複数のポイントサイトを経由することにはなりますが、交換レート100%(等価交換)を維持したままでLINEポイントに交換することができます。
ちなみに、GポイントからLINEポイントへの交換では5%分のポイントを手数料として取られますが手数料還元ポイントサービスのポイント獲得で戻ってくるので実質100%となります。
また、ポイントタウンからは直接LINEポイントへの等価交換が可能となっていますので、ポイントタウンでポイントを貯めている場合はかなりショートカットできることになります。
LINEポイントからANAマイルへの交換
次はLINEポイントからANAマイルに交換するまでをみていきますが、LINEポイントからANAマイルへの交換は端的にいうとソラチカルートです。
LINEポイントは今までも交換レート90%で東京メトロのメトロポイントに交換することができました。3月31日のソラチカルート封鎖によって、これまでメトロポイントに交換可能であったドットマネー、PeX、Gポイント、NetMileといった中継サイトからメトロポイントへのルートが無くなってしまいますが、LINEポイントに関しては4月1日以降もメトロポイントへの交換が可能となっています。
ソラチカルートでLINEポイント→メトロポイント→ANAマイルと交換することになりますが、先ほど説明した通りLINEポイントからメトロポイントへの交換レートは90%です。
そしてメトロポイントからANAへの交換レートも90%なので、最終的にLINEポイントからANAマイルへの交換レートは81%(90%×90%)となります。
以上の説明を図にすると以下のようになります。
以上のように、LINEルートではANAマイルに交換するまでに多くのポイントサイトを経由させる必要はありますが、ソラチカルートとさほど遜色のない交換レート81%でANAマイルに交換することができます。
nimocaルート(ニモカルート)とは
次はnimocaルートについて確認しましょう。
nimocaルートとは、ポイントサイトで貯めたポイントを「ANA VISA nimocaカード」を使ってANAマイルに交換するルートのことをいいます。そのため、ANA VISA nimocaカードを所有していないとnimocaルートを使ってマイルを貯めることはできません。
ANA VISA nimocaカードは、三井住友カードをカード発行会社として、九州の交通系ICカード「nimoca」を運営する福岡県の株式会社ニモカとANAが作ったクレジットカードです。
ANA VISA nimocaカードのnimocaポイントへは、Gポイント、PeX、NetMileから直接ポイントを移行させることができます。
中でもPeXは中継サイトとしての役割を持っており、LINEルートでも説明した通り、ハピタス、モッピー、ECナビ、ゲットマネー、ポイントタウン、ちょびリッチといった主要なポイントサイトから交換レート100%(等価交換)でPeXにポイントを移行させることができます。
そしてnimocaポイント自体は70%の交換レートでANAマイルに交換することができます。
nimocaルートについても図にすると以下のようになります。
例えばハピタスで貯めた20,000ポイント(20,000円分)をPeX→nimocaポイント→ANAマイルと交換した場合、PeX、nimocaへは等価交換できますがnimocaポイント→ANAマイルの交換レートが70%であるため、最終的には14,000ANAマイルとなります。
交換レートが90%となるソラチカルートを使って交換した場合は18,000ANAマイルになるので4,000ANAマイルの差がでます。数字でみてみるとやはりこの差は大きいですね。
LINEルートとnimocaルートのメリット・デメリット
LINEルートとnimocaルートのそれぞれについて確認しましたが、次はLINEルートとnimocaルートそれぞれのルートについてメリット・デメリットをみていきたいと思います。
LINEルートのメリット
まずはLINEルートを使うことのメリットをみていきましょう。
①ソラチカルートに見劣りしない81%の交換レート
やはりLINEルートを利用する一番のメリットは、交換レート90%のソラチカルートに見劣りしない81%という交換レートでANAマイルに交換できることでしょう。
nimocaルートだとANAマイルへの交換レートが70%となってしまうので、ソラチカルート封鎖後に少しでも高いレートでANAマイルに交換したい人はLINEルートで決まりでしょう。
②ANA VISAカードでマイルを貯めている人は交換ルートをまとめられる
ふたつ目はANA VISAカードを使っている人だけに関係することです。
ANA VISAカードのポイントサービスであるワールドプレゼントには2種類のポイントがあります。
- 獲得・調整ポイント
- プレミアム・ボーナスポイント
通常のポイントである獲得・調整ポイントは5マイルコースまたは10マイルコース(ANA VISAプラチナ プレミアムカード会員は15マイルコース)で直接ANAマイルに交換できます。
一方でプレミアム・ボーナスポイントは直接ANAマイルに交換すると1ポイント=3ANAマイルでの交換となります。しかしプレミアム・ボーナスポイントをGポイントに交換し、プレミアム・ボーナスポイント→Gポイント→ANAというルートを通ることで1ポイント=4.5ANAマイルに増やすことができます。
これまではANA VISAカードを使っている人は、ハピタスなどで貯めたポイントをソラチカルートでANAマイルに交換する作業とは別に、プレミアム・ボーナスポイントの移行作業も行う必要がありました。
しかしソラチカルート封鎖後はLINEルートを使えばハピタスなどで貯めたポイントもPeX経由でワールドプレゼントに集まってくるためルートが一つに絞られ、プレミアム・ボーナスポイントの交換とまとめて行うことができます。
メリットとして書いておきながら、僕は面倒なのでプレミアム・ボーナスポイントを直接ANAマイルに交換しています。
LINEルートのデメリット
次はLINEルートのデメリットをみていきましょう。
①マイルに交換するまでに多くのポイントサイトを経由する必要がある
ハピタスなどポイントサイトで貯めたポイントをANAマイルに交換しようとすると、ハピタス→PeX→ワールドプレゼント→Gポイント→LINEポイント→メトロポイント→ANAマイル、と実に5つのポイントサイトを経由する必要があります。
慣れてしまえば気にならないのでしょうが正直かなり面倒です。ポイントサイトの経由には慣れているはずの陸マイラーといえどもうんざりしてしまいます。
ついでに言うと、LINEポイントからメトロポイントへの交換は「300ポイント」、「500ポイント」、「1,000ポイント」の3パターンからしか選べませんので、数万ポイントを交換したい場合でも1,000ポイントずつ交換しなければならないのも面倒です。
②ソラチカルートの影響をモロに受ける
LINEルートは結局はソラチカルートを通してANAマイルを貯めなければなりません。LINEポイントは3月31日に行われるソラチカルートの封鎖からは逃れることができましたが、LINEポイントもドットマネーやPeXと同じ運命を辿りメトロポイントに交換できなくなってしまう可能性が無いとは言い切れません。
また、ソラチカルートの出口側となるメトロポイント→ANAマイルへの交換ルートが改悪となる可能性も十分にあると思います。
さすがに90%の交換ルートを下げてしまうとソラチカカードのコンセプトから外れてしまいかねいだけでなく、「ソラチカルート」などという言葉すら知らずにカード決済や東京メトロの乗車で貯めた僅かなポイントをANAマイルに交換している一般会員(非陸マイラー)に対するイメージダウンとなりかねません。そのため90%という高い交換レートは下げる可能性は高くないと勝手に予想しています。
しかし、その一方で毎月20,000メトロポイントまでというANAマイルへの移行上限を絞ってくることは十分にあり得ると考えています。
毎月20,000メトロポイントをフルを使ってANAマイルに移行できる人は陸マイラーに限られるでしょうから、この移行上限を従来の半分となる10,000メトロポイントまで下げても一般会員には影響は無いと考えられます。
仮に毎月10,000メトロポイントが上限となってしまった場合、LINEルートは81%という高い交換レートを誇りながらも毎月9,000ANAマイルしか貯めることができない魅力の無いルートとなってしまいます。
nimocaルート(ニモカルート)のメリット
次はnimocaルートのメリットを考えてみたいと思います。
①nimocaルートのメリットはANAへの交換上限のポイントが無い
ソラチカルートの場合は月に20,000ポイントまでという交換上限があります。そのためソラチカルートでは1年間に216,000ANAマイル(20,000ポイント✕90%✕12ヶ月)までしか貯めることができませんでしたが、nimocaルートでは交換上限がありません。そのため、ポイントを多く保有している人は一度に大量のANAマイルを貯めることができます。
また、マイルを使う予定が無い人は、ポイントサイトにポイントを貯めておいて使う予定ができそうなときにポイントを一度にANAマイルに移行すればソラチカルートのように毎月移行手続きをする必要もありません。
②ソラチカカードよりも維持コストが安い
ソラチカルートで必要となる「ANA To Me CARD PASMO JCB」通称ソラチカカードの年会費は2,000円(税抜)で、ANA VISA nimocaカードの年会費と同額です。
しかし、ANA VISA nimocaカードの場合は、「WEB明細サービス」と「マイ・ペイすリボ」に申し込むことによって割引特典を受けることができるため年会費はソラチカカードよりも安く済むことになります。
nimocaルート(ニモカルート)のデメリット
nimocaルートのデメリットはなかなか強烈です。
①LINEルートに劣る70%の交換レート
LINEルートのANAマイルへの交換レートは81%でしたが、対するnimocaルートの交換レートは70%となっていてLINEポイントルートにかないません。
20,000ポイントをANAマイルに交換する場合、LINEポイントルートでは16,200ANAマイルになりますが、nimocaルートでは14,000ANAマイルにしかなりません。
20,000ANAマイルを貯める場合、LINEルートでは24,692円分のポイントで済みますが、nimocaルートで貯めようとすると28,572円分のポイントが必要となります。
②ANAマイルへの移行手続きがネット上でできない
nimocaルートの最大のデメリットはnimocaポイントをANAマイルに交換する手続きがインターネットではなく専用の交換機でしか行えないことです。今の時代に交換機でしかポイントを交換できないと知ったときは目が点になりました。
しかもこの交換機は九州(福岡、大分、熊本、宮崎)と北海道(函館)にしか設置されていません。そのためnimocaルートでANAマイルを貯めようとすると九州か函館に足を運ぶ必要があります。
これはデメリットではありますが人によってはデメリットではなく福岡や函館に飛ぶためのキッカケになることもあるようです。かく言う僕も子供ができてから飛行機に乗る回数がめっきり減ってしまったので、ANAマイルへの交換を理由に九州旅行や函館旅行を家族に提案するのもありかと考えています。
ソラチカルート封鎖でドットマネーはどうでるか?
2月に入ってからもモッピーやドットマネーがお得なキャンペーンを継続してくれていますが、個人的にはソラチカルート封鎖後の動きが気になるポイントサイトがドットマネーです。
陸マイラーが主にポイントを貯めるポイントサイトはハピタスやモッピーなどになりますが、これらのポイントサイトはLINEポイントにもnimocaポイントにも直接交換することができません。LINEルートやnimocaルートに乗せようとすると、どちらのルートでもPeXを経由する必要がでてきます。
僕の中でPeXは中継サイトとしての位置づけをドットマネーから奪われ、すっかりオワコンに成り下がったものと認識していたのですが、ソラチカルート封鎖を受け、労せずして陸マイラー必須の中継サイトの座に戻ることができそうです。
逆にドットマネーはソラチカルート封鎖によって厳しい立場に立たされることになりそうです。
しかしドットマネーもこのまま黙って手をこまねいていることはないでしょう。キャンペーンをはじめ何らかの挽回策を考えているはずです。
LINEルートにしてもnimocaルートにしても一長一短あるので、いっその事ドットマネーがソラチカルートを超える交換レートでANAと直接提携してくれると嬉しいんですけどね。
LINEルートとnimocaルート(ニモカルート)どちらを使うべきか
LINEルートとnimocaルートのメリット・デメリットを比較してみました。どちらのルートもメリット・デメリットはありますが、それでもソラチカルート封鎖後は合理的に考えると交換レートが高いLINEルートを使うべきでしょう。
ただし、LINEルートも結局はソラチカルートを通らなければならず、いずれLINEルートも使えなくなってしまうであろうという見方が優勢です。そのため4月1日からはLINEルートを使いつつも、LINEルートがいつ封鎖または改悪されてもいいようにnimocaルートに移れる準備もしておくのがベストだと思います。
僕はと言うと、LINEルートが合理的であることは重々理解しつつも、ポイントを交換するためだけにわざわざ飛行機に乗って九州または函館まで行かなければならないnimocaルートのバカバカしさというか陸マイラーしかやらないであろうことに心が傾いているので家族会議にかけてみようと思います。